第7回目のジュエリーの基礎知識講座
今回は鍛造、鋳造について考えてみます。
なんだか難しい漢字ではありますが
簡単に言うならば「圧力を加えて作るもの」と「型に流し込んで作るもの」になります。
鍛造は金属をハンマー等で叩いて圧力を加える事で、金属内部の空隙をつぶし、結晶を微細化し、結晶の方向を整えて強度を高めると共に目的の形状に成形します。
ジュエリーに置き換えると
地金を叩いて形を作り完成させる
鋳造は金属を融点よりも高い温度で熱して液体にしたあと、型に流し込み、冷やして目的の形状に固める加工方法のこと。
Casting、キャストとも言われます。
ジュエリーに置き換えてみると
「原型」という型から出来上がるもの
という事になります。
鍛造と鋳造の長所と短所
鍛造の場合、地金を叩いて鍛えて造る方法になりますので、
金属の塊を叩いたり、伸ばしたりして棒状にしたものを曲げて行く工程の中で
熱して柔らかくした金属が鍛えられ、引き締められながら徐々に成形されていきます。
そのことによって金属が鍛えられてとても強度、密度が増したものが作られます。
レデッサンドゥデューで言うなれば、人気の金線バングルやフープピアスは鍛造方法で作られています。
とても華奢なジュエリーではありますが、何度も叩くことによって金属が鍛えられています。
叩いた時に出来る輝きは表面が硬いのでとても美しいものになります。
*プレス方式というのも鍛造方法の一つです
金属を高圧で圧縮して作り出されるもので、複製が容易で尚且つ強度もある利点があります。
レデッサンドゥデューのネックレスやブレスレットに使用されているプレート(板ダルマ)はプレスで作られています。
非常に薄いプレートも、プレス方式によって曲がりにくく強く出来ているのです。
これだけ聞くと鍛造いいね~という事になりますね。
強度もあってツヤ感もある。
美しいジュエリーにぴったりの製造方法になります。
ですが、短所もあります。
多くの手間と経験、技量が必要になるため熟練の職人がいることが大切です。
シンプルな形状の指輪等であれば複数個作り出すこともできますが、複雑なジュエリーをつくるのにはあまり向いていない方法になります。
鋳造の場合、原型を型にして溶かした金属を流し込み固める方式になりますので
複雑かつ繊細なジュエリー、様々なデザインのジュエリーを沢山作り出すことが出来ます。
やはりジュエリーとは複雑なデザインの組み合わせによって様々な輝きを放つものです。
鍛造では出来ないデザインを可能にしてくれるのは鋳造、という事になります。
鋳造(キャスト)後の地金の表面は表面はツヤのないマットなものなのですが
磨きをかけることによって見慣れた輝き、ツヤを出していきます。
同じデザインを作り続ける事が出来るのも鋳造技術そして職人の仕上げの技術があってこそなのです。
鋳造にも短所はあります。
溶かして固める手法は、やはり強度面からみると鍛造にはかないません。
鍛造に比べると比較的柔らかい傾向があるのです。
どちらが素晴らしいと言い切ることはできません。
複雑かつ繊細なジュエリーにはそれぞれの長所をいかしながら作られています。
どちらの方法にしても、完成するまでには熟練の職人による様々な工程を経て作られており、
そしてデザインそのもののバランス、センスが大事になると思います。
気に入ったものを選ばれるのが一番、という事になるのではないでしょうか。
次回は仕上げについてお話します。